2017/08
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尾道・広島の地域包括支援システム&みつぎ総合病院
5月19日~20日
尾道市公立みつぎ病院の地域包括ケアシステムを中心に広島県と尾道市の地域包括システムについて視察してきました。

まずは、みつぎ病院前で。
kouritumitugi.jpg
病院内に入って大きな地域包括支援システムの案内パネルの前で。
でエントランスの看板前
一連のお話は、副院長の沖田光昭先生から伺いました。
沖田先生は、外科が専門ですが、気軽に地域にも出かける飾り気のないすてきな先生です。
みつぎ病院副院長
パワーポイントを用いながら説明してくださいました。

山口昇先生が公立みつぎ総合病院に赴任していたのは、昭和41年のこと。当時は御調(みつぎ)国保病院。翌年には、新病院を建設をしました。病床数40床、職員45人。その後増改築を繰り返し現在は、240床の総合病院ですこれがパワーポイントで紹介された山口昇先生。
山口昇先生
病院の現在の全景です。
効率みつぎ病院パネル
関連の老健などの総合福祉関連施設のベットは317床。合わせると557床です。職員数も634人。
二次救急の拠点病院であり、リハビリ、緩和ケア、療養病床、介護移設でのケア、在宅ケアまで含む地域包括ケアとなっている。現在国が進める「地域包括ケアシステム」という言葉は実は、山口先生の取り組みから生まれた言葉である。

介護保険もまだないころ、山口先生は外科医師として手術をし、患者は退院。
しかし、退院したはずの患者が、また病院へ戻ってくる。

多くの患者は、溽暑(じょくそう)ができ、寝たきりになって戻ってくる。
大学病院で学んできた山口先生にとって、退院すればそれで元気になるはずなのに、不思議でしかたなかった。

しかし、徐々に、それは、退院後の在宅での介護力の不足であることがわかってきた。

家族介護の限界、若夫婦は働きに出て、老老介護では、できることも限られている。

家の造りも問題。
トイレは離れたところにあり、そこまで行けない。ポータブルトイレを準備し、そこで失敗が続くと、安易におむつになって、寝たきりになる。

家の中には段差も多い、外出できないので、ボケもすすむ。など・・・。

そこで、病院の看護やリハビリという手法を家庭に出向いて指導。
「医療の出前」である。
まだ、現在のような仕組みが何もなかった時代,、医者が出前なんて、蕎麦屋じゃあるまいし、と言われた。

試行錯誤が続き、ある時患者の一言「このあいだの看護婦さんははよかった。今度もあの人にして欲しい」。
そこでようやく、在宅ケアは、サービスを受ける側と提供する側に信頼関係がないと成りたたないということがわかった。

そこで、それまでは順番に担当者を変えて訪問していたけど、訪問看護を専門のスタッフに、切り替えた。
いわば、「コロンブスの卵」だったとのこと。

訪問看護師に保健婦さんを加えたことも大きな要因。保健師は地域に溶けこみ、地域とのコミュニケーションが上手。
昭和59年から保健師を病院で採用するようになった。保健師は現在16人。人件費は、半分は市の予算から、残り半分はみつぎ病院から。

さらに、訪問にリハビリスタッフも加わるようになる。
日本の家屋が、療養い向かない作りなので、理学療法士が運動療法を担当し、作業療法士が家屋の改造を担当するようにした。
こうして「寝たきりゼロ作戦」が前に進むようになった。
今では、完全ゼロではないが、限りなくゼロに近づいている。

現在、みつぎ病院では、医師が訪問診療を行い、その指示のもとに訪問看護師、リハビリスタッフ、さらに薬剤師、管理栄養士が必要に応じて、対応する。時には歯科スタッフや臨床心理士も加わる。

住民のボランティアの参加も大きい。病院内いたるところに、すてきな絵がかけられ、季節ごとの花が活けてあります。
私立ちが訪問したとき、若いお医者さん?(スタッフ?)が、熱帯魚の水槽の電気が消えている、と心配して覗き込んでいました。
微笑ましい光景。

ナイトパトロールも行っている。

多職種連携のケアカンファレンスの仕組みも充実している。全ては、患者(利用者)を中心とする発想に変わった。
地域包括ケアの概念

医者が中心となる「天動説」から、利用者(患者)が中心となる「地動説」に変わった。

リハビリテーション
寝たきりゼロ作戦に「リハビリ」が大切なのは言うまでもない。術後すぐの急性期のリハビリ、回復期のリハビリ(ここには回復期リハビリ病棟がある。回復期のリハビリのために入院するベットが準備)、
また、今後は、維持期にための在宅でのリハビリにもっと力を入れる必要がある、と山口先生は述べておられる。(介護保険で住宅改造は、認められるようになった)

緩和ケア
緩和ケア病棟もあります(6床)。
9人の看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、歯科スタッフが配置。
単なる緩和ケアでなく、在宅緩和ケアと連携し、退院、在宅を希望すれば、その願いにも添える体制をとっている。再入院を希望すれば、それもOK。まさに患者の希望に沿った体制といえる。
緩和ケアで退院後の対応について、担当者が集まって、しっかり議論します。
緩和ケア前のカンファレンス風景

またホスピスボランティアが約50名いることも特徴です。全員が、研修をしっかり受けて、そののち、ボランティアをします。

行政部門とのドッキング
こうして在宅医療が進んでいいくと、病院からだけの働きかけでは、対応しきれないことがでてきた。
そこで、行政の福祉部門との連携がスタート。なんと病院内に、健康管理センターを造ってしまった。(昭和58年)厚労省の国保課が支援したという。保健サービスと訪問サービスを行うことで、さらに地域住民を巻き込んでいる。
保健福祉センター
地域福祉の拠点である社協だって入っている。
ここまで来ると、癒着?と思ってしまうが、そうではなく、患者サイドに立ってみれば、窓口の一本化であり、ありがたい限り。
市の英断にも拍手。

地域包括支援センターこうした延長線上に、広島県の地域医療と在宅を統括的にケアする「地域包括支援センター」が誕生した。
ここでは、広島県の英断に拍手したい。
広島県のセンターのセンター長は山口先生である。現在は、週に2~3日、センターで指揮を執る。
私たちが訪問した日も山口先生は、センターへ行っておられた。

保健福祉総合施設~介護施設~
病院から車で7分ほどの小高い丘の上に、介護の総合施設がある。
写真は、総合関連福祉施設の全景。あまりにいろいろあって、施設内を案内してもらったけど、あまりにいろいろあって終いには、何が何やらわからない
保健福祉総合施設
ケアハウスのエントランスにて。
ケアハウスさつき前
室内の様子
ユニット室内
退院後すぐの浴室は右マヒの人用と左マヒ用と二つ。
トイレもよく似ているが、右マヒ用と左マヒ用がある。

さらに、これはちょっと状態が安定してからのお風呂。
広い浴室は、結局、真ん中も奥もほとんど利用されないの、でどこからも安心して入れるように、U字型になっています。
共同の風呂U字型
これなら、どこからでも捕まることができて安心です。

左右に部屋があるので廊下はゆったり広く、長さは、なんと100m(100m競争ができそうです)
100メーター廊下
教会みたいな内装。街中にいるような錯覚。
教会みたいな施設内
デイケアの室内。舞台もあって楽しそう。
デイケアたっぷり空間

デイケアなどの福祉施設も立派だけど、驚くのは、回復期、維持期のリハビリセンターの充実ぶりです。
広島県から同病院がリハビリテーション支援センターとして委託を受けて運営しています。
有床診療所を併設し、急性期、回復期、維持期全てに対応できるような仕組みになっています。
1介護予防センター
リハセンター内の多様なメニューに驚きます。作業療法のための様々なグッズ。
患者の興味、関心に沿って対応しようとする意気込みが、次々新しいグッズを生み出すのでしょう。
作業療法室
なんとウオーターベッドまで!(人気の2台なので、普段から順番待ち状態?)
ウオーターベッド
元気のでる色紙。看護婦さんが描いたそうです。
かんごふさんの色紙
これは退院後、家で暮らせるよう訓練するための部屋のようなしつらえの空間。
在宅への移行訓練室
リハを充実してある程度回復したら、在宅へ。
家に帰ってからも、ここへ通えば、状態を悪化させない訓練ができる。

リハスタッフは65人、今後さらに拡充し、100名にまで増やしたいとのこと。
全国に先駆けた同センターは今後、他県のモデル事業となるでしょう。
目が回るほど見学して、いきいきセンターの看板のある外へ出て、一枚。
いきいきセンター

あまりに多岐にわたる総合施設で、すべては書ききれない。(千葉県も見学にいけばいいのに)
病院も、総合福祉施設も、ニーズに応じて増築、改築を重ねてきたので、どこも古びた感じがなく、元は屋上だったスペースが大型会議室になったり、別な屋上では、緩和ケア中の人がリハビリや散策できるスペースがあったりなどして、原型が、新しく入った人にはわからないかも。
案内してくださった方も楽しそうで、引き込まれます。

気になるスタッフの構成(平成25年)病院と保健福祉総合施設と合わせて、
医師 29人 
薬剤師10人 
放射線技師7人  臨床検査技師9人 
療法師85人 
歯科技工士2人 歯科衛生士12人
看護師227人 
保健師16人 
管理栄養士11人 相談員21人  
介護福祉士134人 看護補助58人 
事務37人  その他10人  

病院と施設では、人事交流もあります。

******
その日のうちに広島へ移動。広島のホテルで一泊。
写真は、広島のチンチン路面電車。懐かしい風情です。
広島路面電車
*****
翌日は、9時から広島県庁にて、広島県の「地域包括支援シケア推進センターの概要について話を聴く。
広島県庁です。
広島県庁

お話ししてくださったのは、健康福祉局の高齢者支援課の藤原薫参事と今井真由美主幹。
高齢者支援課は担当が20名で、そのうち、地域包括ケアの担当は5名。
広島県議会担当者と

高齢者支援は、とかく、市町村の役割として、県はスルーしがちだが、広島県では、県がしっかり計画を立て、市町村をバックアップしている。

地域包括ケア体制づくりにむけて、125の日常生活圏域で医療・介護の連携の中心を担う在宅医療推進医を育成中。
すでに271人のドクターが研修をうけ、残りも今年中には研修を終了する。

19市町で地域包括ケア体制の在宅医療推進の連携拠点の整備が済んでいる。
今年残りの地区で完了すれば、23市町すべてで整備済みとなる。
みつぎ病院の山口先生が地域包括センターの代表としてリーダーシップをとるので、医療と行政の連携が取りやすくなっている

三菱総研と連携して行っている介護情報の「見える化」、すなわち、「地域診断カルテ」の存在も大きい。

市町村には力量の差がある。千葉県だって、充実している市もあるし、遅れているところもある。財政的な課題、高齢化の進捗率、地域特性(団地、都市部、過疎、離島など、)こうした、地域特性を十分リサーチし、実態を把握したうえで、県が支援すれば、各市町村だって、おらが町の地域福祉の課題がくっきりして、ありがたいはずだ。

*****

午後は再び、尾道へ。
尾道市民病院(330床)で「尾道方式」について聞きました。
お話してくださったのは、尾道市立病院の庶務課長の松谷勝也さんと、中谷社会福祉士さんです。
尾道市民病院

尾道市は、人口14万人で、高齢化率32.5%。高齢独居は13.3%。
決して大きくない市なのに、医療体制の充実ぶりに驚きます。ほかに昨日のみつぎ病院(240床)、JA尾道総合病院(393床)があります。
ここの特徴は、医療の地域連携を訴え、スタートさせたのが、医師会会長片山寿先生であることです。
パワーポイントの中に現れた「かかりつけ医」の先生が、片山先生です。(今はもう少し、お年を召しているそうです)
かかりつけ医市民病院
地域医療との連携や、在宅漁支援に必要な認定看護師は、市民病院に9人。

地域医療連携と院内連携のスペースもばっちり。地域医療連携室のスタッフは、看護師3名、MSW2名、事務2人。
かかりつけ医との連携がしっかり進んでいます。
写真は地域医療連携室
地域医療連携室尾道
退院後の暮らしを支援する在宅支援看護師が各病棟に1人、計10人。認定看護師です。
入院前から、退院後の支援を検討。
毎月一回ミーティングを行い、事例検討、各部署の課題を出し合い、多職種が膝を付き合わせて検討します。

尾道方式といわれるのは、退院前ケアカンファレンスが充実していること。
退院後のケアは、もとの開業医につなぎます。
そのため、入院当初から、多職種が連携して、患者にふさわしいケアを検討。
その場に、開業医も同席します。
忙しい関係者が、15分~30分の時間をひねり出して、何とか患者さんのためにベストのその後の在り方の知恵を出し合います。(忙しいことを言い訳にしない姿勢が立派!)
そうすることで、退院後の患者さんの満足度が抜群になるので、スタッフもやりがいを持って取り組んでいるそうです。

開放病床(5床)のしくみも面白い。
病院へ紹介した開業医の先生が、病院の患者のベットのわきに来て「その後、どう?」
と聞いたりします。
患者さんは、途切れなく馴染みのお医者さんと接することができるので、退院後も不安を感じません。

病院の側もすべて、病院で抱え込まず、地域資源と連携できるので、お互いにやりがいが感じられ、仕事も楽になります。

最後に松谷さん,中谷さんと一緒に写真。
尾道市民病院2
患者さんのために何とかしたい、と思えば、こんなにいろいろ知恵が出てくるもんなんだと、いうのが、今回の視察の成果でした。

かけ足で、盛りだくさんの視察でした。
お忙しいところ、対応してくださった担当者の皆様、ありがとうございました。
プロフィール

ichiharatomoko

Author:ichiharatomoko
     
1948年石川県生まれ
早稲田大学卒業
市原市議2期を経て千葉県議(2期目)
市民ネットワーク千葉県共同代表

子ども3人は独立し夫と2人暮らし、ネコ1匹
趣味は絵を描くこと、俳句、散歩、読書

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