2017/05
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諏訪中央病院&県庁(1)
長野県は、男女ともに長寿日本一、かつ医療費が全国一低いことで有名です。
その長野県の農村医療をけん引してきたのが、諏訪中央病院であり、佐久総合病院。
さらには佐久総合病院に隣接して市立国保病院である浅間総合病院も赤字を出さず、地域の核として頑張っています。
今回は、その長野県の医療現場を視察する機会を得ました。

新宿から「あずさ13号」に乗り茅野駅下車、諏訪中央病院へ。
諏訪中央病院前


「がんばらない」医療・お話で有名な鎌田先生が名誉院長をしておられる病院です。
茅野市を主な出資者とする一部事務組合立です。
病床数 360床。
他に介護老人保健施設「やすらぎの丘」、
看護専門学校、
介護老人福祉施設「ふれあいの里」
を併設しています。

スローガンは、「あたたかな急性期病院」
病院らしくない病院を心がけ、外来にカーペット、フロアごとに色(中間色)を変え、くつろぎの空間が演出されています。

匂いのない病院を目指し、廊下にハーブのドライフラワー。
ボランティアの方の心づくしだそうです。

館内に芸術作品、彫刻・書画、案内のデザインも、おしゃれです。

時間がなくて見学できませんでしたが、展望食堂、屋上庭園、一階には喫茶、外来図書室、パソコンコーナーも充実しています。
(ここでもボランティアさんが図書の管理やお花の手入れをします)

各階に患者食堂を設け、病院といえば味気ないベットで食べる食事でなく、普通に家庭のように「寝食分離」を目指しています。
病院というより、快適なコミュニティ・スペースです。

病室の近くに、看護士さんたちのナースコーナーを日本で初めて設けました。

リハビリ部門を充実(45床)し、積極的な家庭復帰をめざします。

またリハビリ室の外に屋外庭園があるのも、すてきです。(残念ながら時間がなく映像のみ)
屋上庭園


一番聞きたかったのは「地域と医療の連携」
診療情報の公開はもとより、病院が病気を治すだけでなく、病気と共存した文化の発信基地としての役割も担うことをめざしているとのことです。

ほろ酔い勉強会
人気が高く、これまでに208回開催しています。
地域住民に病院情報や、健康に関する生涯学習の場の提供となっています。
ほろ酔い勉強会

ボランティアの活動
花の世話、図書の管理、ホスピスボランティア、外来受付まわりにいて院内の案内がかり、ミシン踏みボランティアまで、多彩なボランティアメニュー。(周辺住民の生きがいになりそう)
アニマルセラピーボランティア
アニマルセラピー(これもボランティアさんの力)

ホスピタルコンサート。左隅に鎌田さんが映っています。
さんホスピタルコンサート蒲田

地域連携室
地域の開業医や病院との橋渡しを担う地域連携室は、今後ますます重要性が高まるだろうとのこと。

写真は医師臨床研修室の様子
医師臨床研修写真

諏訪中央病院は、救急医療の充実に、とりわけ力を入れています。

丁寧に説明していただいたのが、「総合診療内科」についてです。

救急医療に充実には、「総合医」の存在が欠かせません。

総合医とは、
臓器、疾患を問わず、幅広く患者に対応できる医師」とされています。
現在厚生労働省の「専門医のあり方に関する検討会」で、
総合的な診療能力を有する医師の名称(総合医、総合診療医)および定義などを含めて検討されています。

「総合医」で、という仕組みは、舞鶴市民病院の佐藤医師が米国で学んできて始めました。

諏訪中央病院では、70人の非常勤を含めて医師がいますが、そのうち約20人が総合医の役割を担っています。

総合医の大切さは、「家庭医」の重要性を学んだ北海道でも聞きましたが、ここでは、病院にとって総合医はなぜ必要なのか、ということについて聞きました。

一般の総合病院は、専門医が集まる、いわば「テナント」が入ったデパートのようなもの。
しかし、地域の病院ではすべての診療科を揃えることはできません。
「救急」を看板にすれば、あらゆる患者が集まり、優れた専門医ほど疲弊して続けられなくなる、という矛盾が生じます。

しかし、病院に運ばれてくる患者さんのうち、約90%は、総合医で診断・対応ができます。
残り10%は専門医でないと対応できないので、必要に応じて専門医を夜間であっても呼び出します。

しかし、ほとんど専門医を夜間に呼び出す必要はないほど、専門医で一時対応ができるそうです。
夜間に呼び出されることがほとんどないので、専門医は、日中、専門治療に専念できます。

お話をしてくださった高木先生は、名古屋大学卒業。
名古屋大学医学部では、伝統的に卒業した後、市中にすべての診療科を回って自分の進むところをきめるので、総合医になる下地があったそうです。

総合医を育てるには3つの要件が必要です。

まず、地域住民の理解です。
総合医をめざす若い研修医は、とかく若いということで、住民から軽んじられることがあるが、その熱心で一途な患者に対する対応で、住民からの信頼が得られるようになります。
その信頼が、また研修医を育てる、という好循環をうみます。

もちろん、後ろには指導医がいます。

そして、長野の特徴として長い歴史を持つ保健補導員、食生活改善指導員の存在があります。

次に必要なのが、医師会の理解です。
診療所や地域の内科の先生たちには、自分たちこそ、「家庭医」「総合医」であるという自負があるので、病院は「専門診療に徹しろ」との声があります。今は理解が得られるようになったということです。

最後は、行政の理解です。
諏訪中央病院は、三市の組合立病院なので、その理解を売ることが大変だったそうです。幸い、三市の理解があって、総合医は着々と育っているようです。
(舞鶴市はとうとう理解してくれなかったそうです。難しいものです)

3次救急はおろか、2.5次救急さえも難しいと言われて久しい病院経営です。
長野方式はほんとに学ぶことが多いと感じました。

耳慣れない言葉に「屋根瓦方式」という言葉がありました。

その意味を聞いたら、先輩研修医や専門医が新人研修医に指導する。先輩看護師が看護婦の卵に指導する、それによって、新人も育ち、指導するちょっと先輩も育つことを屋根瓦のように、少しずつ先輩、後輩が重なり合って成長する様が、「屋根瓦」のようだということで名付けられたのだそうです。

他に東洋医学センターや緩和ケア病棟などなど・・・。あまりに多様なお話に時間が足りません。

お忙しいところ、対応してくださってありがとうございました。

その日のうちに長野市に移動。諏訪からかなりの時間がかかります。宿泊は長野のホテル。

7月12日(金)
朝9時半から、長野県庁。
長野県庁

ちょっと早く着いたので一階フロアーをうろうろ。
さすが長野。面白いゴミ箱です。
DSCN0201.jpg

看護学校や職業技術学校の案内ブース
就職案内
ちょっと雑然としているけど、義援金コーナーもしっかり。
義援金のコーナー
そして、田中知事当時のガラス張りの部屋は、今は観光案内のブースになっていました。
の部屋と私ガラス張り

いよいよ、本番。
健康福祉部医療推進課医療係担当係長の久保田さんからお話を聞きました。

信州保健医療総合計画から抜粋して長野の医療の現状と方針について。
長野医療圏

長野県は平成13年の人口222万人をピークに減少し始め平成22年には、215万人。
65歳以上は26.5%となっています。
険しい山で分断された地域のいくつかは、医療過疎の問題も深刻です。

しかし、長寿、一人あたり医療費の少なさで、全国トップの長野では、今後は寿命と健康寿命の差を縮めることを目指しています。
長野では、生涯現役で農業などをして働き続ける人が多いことも長寿に結びついているようです。

医療過疎対策として、ドクターヘリも2台持っています。(千葉も2台)

二次医療圏相互の連携も欠かせません。
欠けている医療資源は何か、を明確に示し、優先的に基金を投入して体制を強化しようとしています。

計画策定の方針の第一は、ともかく情報公開。
徹底して市民と情報を共有して、長野の医療状況の課題解決にあたろうという強い意思が溢れています。

ワーキンググループの中で真摯に議論されたことが伺えます。

医師や看護師、現場職員や患者の声、その他あれこれ書き込まれたコラムも充実。

一般市民が読んでもわかるようにわかりやすく編集された同計画はなんと523ページにも及びます。

久保田さんのお話であっという間に時間となってしまいました。(ここでも時間がもっと欲しい!)

県庁をあとにしてすぐ新幹線で2駅の佐久平駅へ。車中でおにぎり昼食。
プロフィール

ichiharatomoko

Author:ichiharatomoko
     
1948年石川県生まれ
早稲田大学卒業
市原市議2期を経て千葉県議(2期目)
市民ネットワーク千葉県共同代表

子ども3人は独立し夫と2人暮らし、ネコ1匹
趣味は絵を描くこと、俳句、散歩、読書

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