2017/08
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北海道 はるにれの里と地域医療視察(その1)
5月9日~11日は北海道「はるにれの里」と地域医療の視察に出かけました。
たくさん感度したので、まず「はるにれの里」について、3回に分けて報告します。

千葉県の新年度予算のひとつに「強度行動障害のある方への支援体制構築事業」新規企画がありました。

強度行動障害という、自傷や他害、激しいこだわりなど
様々な問題行動のある最重度の発達障害人の居住するケアホームを、
千葉でも創設しようとする事業です。

当初予算は、債務負担行為(とりあえず予算を確保する)で3400万円。
ケアホーム整備とお世話する生活支援員補助の経費です。

担当者に説明を聞いたときには、
強度行動障害の支援が必要な施設では、すでに多くの重度の障害者を抱えており、
これ以上の受け入れは困難。

だから新規事業でケアホームを創設し、
症状が改善した対象者が退所すれば、新たな受け入れが可能になる。

という説明でした。

しかしそれでは、定員があって待機者が多いから追い出して
次の人を入れるだけではないか?
放り出された人はどうなる?
との思いで、予算委員会で質問したわけです。

後で、伺ったところ、
このモデル事業は、
北海道「はるにれの里」で、多くの最重度の行動障害の方々が地域で暮らしておられる事例を見て、
ぜひ千葉でも!との思いで取り組むことにしたのだそうです。

そこで、今回の会派4人と船橋、市原の市議二人の総勢6人の視察を企画したわけです。

もう一つのテーマは、北海道の地域医療の実践例。これも興味深いテーマです。(その3で)

5月9日、空路で千歳空港 → 札幌 → 石狩の「はるにれの里」へ。

そのうち生活介護事業所「さりゅう」でお話を聞きました。
さりゅう全景

施設の概要の詳細は、「はるにれの里」ホームページから検索できるので、是非見てください。

最後に撮った写真ですが、訪問した面々と案内してくださった木村さん、中野さんとの写真です。
木村さんたちと全員集合

統括施設長の木村昭一さんと
生活介護事業所の生活館「さりゅう」「ゆらり」の課長(サービス管理責任者)である中野喜恵さんから、
お話をお聴きし、現場を見せていただきました。

ここでの事業の理念は

1)重度自閉症および重度知的障害をはじめとする発達障害児者に特化した多様な事業

2)いかなる重度障害であっても最終ゴールを地域での自立生活とし、それを支える

3)家族を支え、家族に支えられる事業

4)情報の公開、外部評価の導入、地域に開かれていること

昭和42年に父母の会10人でスタート。

当初は、障害者は「修学猶予」という名目で、
教育から除外されていた子供たちに教育の機会を、という運動から出発し、
「情緒障害児学級」の創設、
市立札幌病院静療院に専門の治療施設児童部をスタートさせました。

当時は、自閉症に対する教育・対応は混沌としており、
絶対的な需要、厳しい躾、など様々な教育手法で、
かえって利用者が混乱する場面が続いたそうです。

ようやく平成3年頃から
一貫した支援とチームワークが確立し、
今日につながりました。

社会福祉法人はるにれの里の理念は、
「いかなる重度障害であっても最終ゴールを地域での自立生活とし、それを支える」こと。

入所施設は、
「厚田はまなす園」と
自閉症者自立支援センター「ゆい」ですが、
終のすみかにするのでなく、
あくまで有期限、有目的で、3年をめどに地域のケアホームへ移行できるように支援していきます。

今や、石狩、札幌周辺だけで30箇所のケアホームを有し、
今後さらに年に2~3箇所その数を増やしたいという意向です。

男性の入所しているケアホームは、2軒を3人の地域支援員が支え、
そのほかに世話人(ヘルパーが平均3~4名のパートタイマー)でささえます。

女性が入所するケアホームの場合は、1軒を2人で支えます。
夜勤もあり、都合のつかない場合は、はるにれの里の職員が交代で入って支えています。

とても過酷な職場であり、さらに施設を増やすためにも、人材確保は急務。

人材確保には力をいれています。

通常は、福祉関係の施設の離職率は20%ということですが、ここでは6%にとどまっています。
また、今年も30名の新規採用があったそうです。

やりがいがあり、また、その成果が見える職場であること、たえず研修やコミュケーションが行われっていること、などが、職員の定着率の高さにつながっているようです。

保護者の中にはケアホームへ出されることに対して
「せっかく設立当初から一緒に頑張ってきたのに、うちの子を放り出すのか」
と強く反発していた保護者が、
落ち着いて、地域で一人暮らしをしている人たちを見て、
自分の子も一日も早く地域移行を、と待つようになったということです。

自閉症と言われる人たちの障害の特性は一様ではありません。

だからこそ、集団、大型の施設は合わない、あくまで個別に対応し、
その人の特性、興味関心・傾向を見極めて、個別にプログラムを組んでいく、
むしろ、人刺激が強いことがストレスにつながることが多いので、
1ホーム4人規模の今のケアホームの方が、
障害の特性にあっているのだそうです。

周囲で何が起こっているのか理解できない、
何を要求されているのかわからない、
いつ、その不安が除去されるのかわからない、
という混沌(カオス)が極限まで高くなると、
暴力的な自傷や他害やドアを叩いたり、奇声をあげたり、
ということにつながっていくのだそうです。

一次障害は、生まれつきの脳の機能障害ですが、

その後、その障害が理解されず、周囲が本人を苦しめることが積み重なると、

二次障害となって、さらに事態を重く、深刻にしていきます。

その二次障害を取り除き、
①人に求めて欲求が通るという体験を重ねること。
②いつまも待ったら要求が通るのか。
ということが、具体的に本人が納得できれば、不安は解消され、安心が心の安定につながるのだそうです。

どこまで待つのか、なぜ叱責されるのか、わからないときの本人の恐怖は、
一気に生きるか死ぬかというほど、大きなものになります。

理由もなく責められる感覚は、きっと私たちならば、
底の見えない穴や、終わりのない混沌の穴に突き落とされて、
どこからか叱責の声が響きわたってくる、というような感覚なのかもしれません。
(あくまで想像ですが)

では、具体的に、どんな対応をすれば、納得・理解してもらえて、
当人が落ち着いて行動することを支援出来るのか?

その取り組みは、とてもユニークで興味深いものでした。(その2へ続く)
プロフィール

ichiharatomoko

Author:ichiharatomoko
     
1948年石川県生まれ
早稲田大学卒業
市原市議2期を経て千葉県議(2期目)
市民ネットワーク千葉県共同代表

子ども3人は独立し夫と2人暮らし、ネコ1匹
趣味は絵を描くこと、俳句、散歩、読書

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